ヒットマン2 レビュー 楽しい暗殺、それを台無しにする雑なローカライズ
群衆や周囲の環境にまぎれターゲットを暗殺する事をテーマとした「Hitman」シリーズ最新作。本作は前作のシーズン1に対してシーズン2という位置づけの直接的な続編となっている。
思考を刺激するソーシャルステルス
豊富に用意されたロケーションこそがが本作の主役だ。新たな6ステージの内、特にアジアのごちゃごちゃ感を忠実に描写したバンコクが素晴らしい。
それぞれのステージで環境や道具、変装、銃器を駆使してターゲットの暗殺を実行することになる。
本作はプレイヤーの発想を刺激する構成が巧みだ。「この道具があればあの場所で事故死に見せかけられるのでは…?」といったように次々と新たなプランが浮かんで来るのだ。
綿密に練った計画を実行に移し上手くいけば気持ちよく、失敗してもトライアンドエラーで新たなプランを構築するのが楽しい。
自由度がとんでもなく高いゲームなのだが本作はガイドが充実しているので暗殺初心者でも迷わないのが親切だ。マップ上にマーカーを設置してくれるので広いマップでも次に何をするべきか途方に暮れる事はない。
繰り返しのプレイを促す仕掛け
本作は同じステージを何度も何度も繰り返す遊ぶ事を推奨する構成なっている。ステージクリア後に「次はこんな暗殺方法があるけど、どうだい?」とゲーム側が次々と提案してくる。
ステージを遊ぶ事でロケーションレベルが上がっていく。レベルを上げることにより新たな衣装や新しいガジェットがアンロックされるので、その度に「次はこれを試してみよう」という気にさせるのである。誘導が上手い。
雑なローカライズ
ミッションに挑む前にブリーフィングが行われるが、ムービーと字幕の内容がズレている為全く頭に入ってこない。改行がおかしく誤字脱字の多さが目立つ。そもそも用語の意味自体を取り違えて訳している事があるのはゲームとして致命的だ。これらの字幕はアップデートでの改善もされずに放置されている。
ヒットマンにはNPCの会話を盗み聞きして状況を理解するという工程があるが前述の問題のせいで機能しているとは言い難い。
スクウェアエニックス傘下だった前作は豪華な吹き替えが用意されていたがここまで高望みはしない。本作の字幕はゲームをプレイする上で求められる水準の最低限以下な事が問題なのである。
本作はストアからレガシーパックを購入する事で前作のシーズン1にあたるステージで遊ぶことが出来る機能がある(前作所持者は無料)。ゲーム序盤のチュートリアルを終えた際、ヒットマン1のストーリーからプレイすることをゲーム側に推奨されるのだが国内PS4版のみレガシーパックが未配信なので購入不可能である(2019/2/7現在)。発売直後に配信予定だったのだが突如延期とアナウンスされて以降音沙汰がない。*1
筆者は一人の日本人として他言語のゲームをローカライズし販売してくれている会社に対し格別の敬意を抱いている。だからこそ本来優れたゲームがローカライズによって台無しになってしまう事が悲しい。
総評
6.0/10
優れたアサシネーションがローカライゼーションの犠牲となった不幸な作品
*1:2019/2/22追記 レガシーパックの配信が開始された