信長の野望・大志 with パワーアップキット レビュー 追加要素は少ないが手堅い

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メーカー:コーエーテクモゲームス 機種:Nintendo Switch,PS4,PC

 信長の野望シリーズのプレイヤーならパワーアップキット(以下、PK)前のバージョン(以下、無印)が今一つなゲームであることは承知の事実である。

 「信長の野望 大志」がその出来栄えをめぐって炎上した背景にはそれを覚悟していたプレイヤーですら匙を投げ出すレベルの内容の薄さだった事が理由として挙げられる。

 筆者は無印版を20時間プレイしたが、直ぐに前作である「戦国立志伝」に戻ってしまった。

 このPKで無印の問題点はどれほど解決したのだろうか。

 

あっさりした内政は変わらず

  無印版で最も批判の対象となった内政部分のゲーム性の薄さに関しては殆ど手が加えられていない。新たに調略が追加されたもののあくまでも他勢力との戦争を有利に進める為の要素に留まっている。農業や商圏などの内政部分は完全に委任しても問題なくゲームが進行する。

 無印版にてアップデートで追加された施設の要素が殆ど手つかずだったことには驚いた。当時、急造な付け焼き刃で導入された感じをうけていたからだ。これは方策や商圏のシステムともっと深い関わり合いを持たせるべきだった。明らかに他のシステムから浮いてしまっている。

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プレイヤーが操作しても委任してしまっても殆ど変わらない

圧倒的進化を遂げた決戦

 PK最大の変更点である決戦こそが本作の華だ。戦場上限、施設、調略による戦略面と軍施設、罠、作戦による戦術面によって無印版と比較すると圧倒的に遊びがいがあるものになった。

 あらゆる要素を駆使すればまるで桶狭間の戦いのように圧倒的な戦力差をひっくり返せる局面もある。
 決戦において自分で考えた作戦が見事に嵌った瞬間の喜びは唯一無二の魅力だ。
 

 他に大きな変更点として決戦の勝利条件が敵の総大将の撤退のみになった事が挙げられる。

 個人的には無印版の士気ゲージによる勝敗の決し方は挟撃による各個撃破が常套手段となりすぎていたためこの変更点は賛成なのだが、賛否が分かれる部分でもある思うのでアップデートで士気による決着を追加しオプションで選べるようにしてもいいと思う。

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  一方、セールスポイントとされていた攻城戦は今一つな印象を受ける。「戦国立志伝」のような本格的なものではなく、無印版における城の包囲を視覚的にしただけの物だ。

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向上したリプレー性

 新たに追加された大命はリプレー性の大幅な向上に貢献している。大命は方策ポイントを使用することによって発動し、「農兵の強化」「敵国内で一揆を誘発する」「米の収穫量を上げる」等々内政や戦争に一定期間様々なバフやデバフ効果を発生させる。

 各大名毎に特色にあわせた大命が用意されているのが面白い。プレイごとに新鮮さを加味しているし、周りに厄介な大命を所持している勢力がいるなら早めに芽を摘むか同盟を結ぶといった対処を求められる。

 方策によって永続的な効果をとるか大命によって短期間の強力な効果をとるかという取捨選択もゲーム的で良い。

総評

7.0/10

 正直なところ定価6000円のDLCとして考えれば追加要素は少ない。だが変更点はどれもが本作にとってのスイートスポットであり、無味乾燥だった無印版からと比べると信長の野望として遊んでいて楽しいと言える水準に達したと言える。

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