ANTHEM レビュー 完成半ばでリリースされた超大作

 

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メーカー:BioWare 機種:PS4,Xbox one,PC

 「Dragon Age」や「Mass Effect」シリーズで有名なBioWareが送る完全新作。E3 2017で公開されるやいなやその高度なグラフィック表現が大反響を巻き起こした事は記憶に新しい。その話題作が遂にリリースされた。

 今回筆者は「Origin Access Premier」にて一週間の先行プレイを行ったのでその時点での評価とさせていただく。

 

 

こだわりのジャベリンで大空へ飛び立て

 

 特筆すべき点はジャベリン(自機)のカスタマイズの奥深さだ。ゲームを始めると特徴の異なる4種の中から1機を選び、そこから自分好みに調整を行っていく事になる。特殊攻撃であるアビリティや能力を調整するMODなどゲームとしての性能面はもちろんなのだが、本作は能力値に関係しない外見のカスタマイズ性が非常に高い。
 金属、強化プラスチック、ゴムなど各部位の素材まで細かく指定出来るのは驚きだ。ゴムは擦り切れた状態に出来たり金属の光具合や汚れ具合まで調整可能。満足のいくジャベリンが組みあがったらオンラインの協力プレイへ繰り出し、活躍を魅せつけるのだ。
 広大なオープンワールドをジャベリンで自由に飛び回るのはこの上ない喜びである。光が降り注ぐ渓流、断崖絶壁や水中などどこを切り取っても美しいとしか表現しようがない。グラフィック面では今世代最高峰だろう。

 

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ド派手なバトル

 戦闘は3次元空間を活かした動作が多くアクション性が高い。基本的にはTPSだがジャベリンの種類によっては近接攻撃や超能力の様なアビリティでの攻撃がメインとなったりもする。
 本作の戦闘を代表する要素がコンボシステムである。これは特定の属性(プライマー)攻撃を付加した敵に起爆(デトネーター)攻撃を行う事により発動する。これによりコンボエフェクトが発生しダメージの上昇に加え各ジャベリン毎に様々なプレイヤー側に有利な効果が起こる。
 コンボは一人でも可能だが他のプレイヤーと協力して発動させる事が前提にデザインされている。高難度ではこのシステムを利用しないとまともにダメージが通らなくなる為、コンボの習得はほぼ必須と言える。

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長大なロード時間とコンテンツ不足

 

 何をするにも長大なロード時間が発生するのでゲームに対する集中力を削いでしまっている。街からミッションへの出撃に2分、ミッションから残る街への帰還に1分半、ジャベリンをカスタマイズする工房へ入るのに30秒程度要する。ミッションをこなす度にこれらのロード時間が毎回発生するのである。きっと暇つぶし用にスマホを片手にプレイする事になる筈だ。

 本作の様な所謂ハックアンドスラッシュ(本来とは間違った意味で広まっているが)と呼称されるジャンルではプレイアビリティが非常に重要なのでこのロード時間は致命傷となり得る。*1
 広大で美しいオープンワールドを読み込むのに時間がかかるのは仕方のないことなのは理解できるが、だとすれば一々街へ帰還してミッションを受注するというプロセスはこのゲームに必要な事だったのだろうか。
 オープンワールド上でメニュー画面からクエストを受注し、そこで改めてプレイヤー同士をマッチングさせれば良かったのではないか。

 

 また現時点ではコンテンツも明らかに不足している。エンディングまでなら十数時間程度で到達可能であり、そこからはお目当ての品がドロップするまで難易度を上げながらひたすら同じ内容のミッションに挑む事となる。ミッションのパターンは基本的に「マーカーの場所まで移動」、「周囲に散らばる光の玉を集める」、「部品を集める、「出現する敵を殲滅する」とこれらの要素だけで構成されていてバラエティに欠けている。結果的にどのミッションでも同じようなプレイ感覚になってしまい飽きが早い。

 BioWareは今後数年に渡って追加要素のアップデートを行っていくとアナウンスしているがそれはリリース時のコンテンツ不足の方便にはなり得ない。

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総評

6.8/10


 現状のコンテンツの不足と不可解に長いロード時間から考えると企業側の都合により未完成の状態でリリースされたとしか感じられない。

*1:2019/2/21追記 Day Oneパッチにてロード時間の改善を確認。おおよそ三分の二程度の長さになった

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