デビルメイクライ5 レビュー スタイリッシュアクションは時代の変化に耐えうるのか

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メーカー:Capcom 機種:PS4,Xbox one,PC

 3Dアクションゲームの金字塔「Devil may cry」シリーズの最新作が前作から11年の時を経て登場。ダンテ、ネロに加えて新規プレイアブルキャラクターVを引っ提げてスタイリッシュアクションが更に極まる。

 

デビルメイクライと3Dアクションゲーム史

 神谷英樹ディレクションの下で開発が行われ2001年にリリースされた「デビルメイクライ」は今日における「3Dハック&スラッシュアクションゲーム」の始祖的存在である。ゲーム業界へ大きな影響を与え「God of War」、「NINJA GAIDEN」に代表される数々のフォロワー作品を生み出すこととなる。

 やがてジャンルとして成熟を迎えた2009年、再び神谷氏制作により誕生した「ベヨネッタ」は革命的な回避アクションやコンボシステム携えていた。デビルメイクライシリーズの外伝作である「DmC Devil May Cry」も明らかにベヨネッタの影響下にあった事からもその衝撃が窺い知れる。

 しかし時代の流れなのか本ジャンルは販売本数が徐々に減っていきやがて衰退を迎える。近年ではかつてのフォロワー作であった「God of War」が時代の変化に合わせてジャンル自体を完全に変更したリブート作をリリースし、高評価を得ている。

 3Dアクションの時代は終わりを迎えたのだろうか?そんな状況下で発売されたデビルメイクライ5は時代に合わせた変更を行ったのだろうか?

 否。登場したのはいつものデビルメイクライであった。

 

三人のプレイアブルキャラクター

ネロ

 本作の主人公であるネロは前作の「デビルブリンガー」に変わる新要素として登場した「デビルブレイカー」が特色である。複数本所持可能な武器で種類ごとに様々な攻撃が可能だが、非常に脆く攻撃中の被弾によりあっけなく破壊される。デビルブレイカーは購入するほかマップの探索中に入手が可能であり、新たに拾った物が優先的に装備されるで必然的に常にとっかえひっかえしながらプレイことになる。結果的にプレイヤーはランダムな装備で戦闘を乗り越えていく事を余儀なくされる。自分の好みのデビルブレイカーを使い続けることが出来ない“ままならなさ”がゲーム体験として新鮮さを加味しているのだ。

 

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V

 完全新規キャラクターであるVは三体の魔物を従えて戦う全く新しいプレイ感覚となっている。V自身は非常に非力なので魔物での攻撃がメインになるのだが、魔物は悪魔へ止めを刺すことが出来ない。Vは悪魔から近づきすぎず離れすぎず華麗に魔物を使役しながらスタイリッシュに止めのアクションを決めるのである。

 

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ダンテ

 シリーズの顔であるダンテは、近接武器と遠距離武器それぞれ4種類と4つのスタイルアクションを組み合わせて戦う事となる。本作の近接武器はモードや形態のチェンジが可能な物が多く、アクションの組み合わせはかつてないほどの膨大さである。

 初見では手に余るほど複雑で途方に暮れるだろう。ダンテは本作で最も操作が複雑で、だからこそ習熟し甲斐のあるキャラクターとして明確にデザインされている。

 

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いつものデビルメイクライ

 「デビルメイクライ5」は驚くほど過去作に忠実である。現在のコンボアクションゲームとして完成した「デビルメイクライ3」以降の作品から骨格の部分は全く変化していないと言って差し支えない。

 良く言えばいつものファンが求めるデビルメイクライであり、悪い言い方をすれば古臭いゲームだ。

 アクションゲームとして核の部分は問題ない。武器を切り替えながら悪魔にコンボを叩き込み空中でジャグリングするのは最高にエキサイティングで、自分の腕にあわせて徐々にゲームの難度を上げていくのは挑戦し甲斐がある。正に筆者が求めるデビルメイクライを体現している。

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 問題は別の部分にある。

 ミッション前のムービーとゲーム部分の間に一々ロードを毎回挟むのは現在の基準から考えると非常に鬱陶しい。頻繁に出入りする事になるカスタマイズ画面へ入るのにも毎回ロードが発生するのは閉口する。アクションゲームとは関係ないゲームの基本設計部分までもが2世代前の作り方のままなのだ。古臭い設計がアクションゲームを楽しむことを阻害してしまっているのは非常に惜しい。

 

総評

8.8/10

 かつてないほどやりごたえのあるシリーズ最高峰のスタイリッシュアクション

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