バイオハザード RE:2 レビュー 偉大なる原作へのラブレター
私はこの作品をプレイしていて何度か涙が溢れそうになった。それは単純にゾンビやタイラントが怖かったからというだけではない。製作者達のオリジナル作品に対する深い経緯の念と愛に感動したからである。
随所にオリジナル作品の要素を残しながらも今世代の完全新作としても成立する大胆な刷新を行い、見事に20年前の作品を現代へと蘇らせた。
本作はまるで現在のカプコンの制作スタッフ達による原作バイオハザード2へのラブレターの様であるとすら感じる。
ゲームにおけるストレスの構造
ゲームの基本構造はストレスである。プレイヤーが乗り越えるべきハードルとして設置されるそれは「ドラゴンクエスト」であれば魔物だろうし「スーパーマリオ」ならステージや地形そのものであり、「シヴィライゼーション」なら敵陣営の文明であろう。
ゲーム側が設定したストレス=ハードルを乗り越えることでプレイヤーは快感を感じる。そのプロセスの繰り返しこそがビデオゲームの遊びの本質であり根幹だ(例外も存在する)。
本作はそのストレスの設定が非常に秀逸である。
常に絶妙に難しくあり続けるためゲームへの集中力が途切れる事はなくグイグイと引き込まれる。計算しつくされた敵の配置やアイテムの設置によってプレイヤーは製作者の掌の上で踊らされ続けるのである。
絶妙な緩急
アイテムのインベントリが常にギリギリでやりくりに苦労するが、だからこそアイテムポーチを入手し所持枠に余裕が出来たときは格別の喜びを味わえる。
弾薬は慢性的に不足しつづけるからこそプレイヤーは如何に効率よくゾンビをかいくぐるのか常に思考を刺激され続ける。
そして徐々に慣れてきた頃にリッカーやタイラントといった強敵が配置されるようになり、決してゲームプレイが間延びする事はない。
全体を通して1stシナリオで7時間前後、2ndシナリオが5時間前後でクリア可能なボリュームだがこれはプレイヤーを飽きさせず尚且つ集中させ続ける事が可能な限界ギリギリのラインであろう。
クリア後に更なる遊びを求めるプレイヤーには高難度の短編のシナリオ数本と本編を高評価で突破することを目的としたやり込みが待っている。
プレイヤーを飽きさせない細かい創意工夫
2ndシナリオではハンドガンの運用が若干変化する。
通常のハンドガンの弾薬はガンパウダーによる作成によってのみ入手可能となりマップには配置されなくなる。これの変わりに配置されるのが大型拳銃の弾薬だ。
大型拳銃は最序盤に入手出来るのだがこの武器の弾薬はガンパウダーでの作成が不可能なのでマップの探索によって入手出来る分だけででやりくりすることになる。
1stシナリオではマップの至る所で弾薬が拾える上に不足気味になれば気軽に作成が行える最も気軽に運用出来る武器であったハンドガンだがこの部分に捻りをくわえたのはである。
所持枠の問題で二種類のハンドガンと弾薬を常に持ち歩くわけにはいかないのでプレイヤーは選択を迫られるのだ。
本作にはこのようなプレイヤーを飽きさせない細かい創意工夫に満ちている。
総評
10/10
20年前の傑作を現代へ蘇らせたその類稀な手腕は職人芸としか表現しようがない。サバイバルアクションホラーとして新たな指標となる偉業を成し遂げた傑作。