ファイアーエムブレム 風花雪月は「聖戦の系譜」リメイクを見据えている気がしてならない

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 ファイアーエムブレム(以下、FE)シリーズでは新作の合間に過去作のリメイクが定期的にリリースされる。
 リメイクの順序は原作のリリース順ではないものの現在3作目の紋章の謎まで行われている。順当に行けば次は4作目の聖戦の系譜(以下、聖戦)である筈だ。

 シリーズファンであれば風花雪月の作品内に歴代シリーズのオマージュが多分に含まれている事に気づくだろう。その中でも得に聖戦の要素が目立っていると感じた。
 それは単なるスタッフの聖戦へのリスペクトから来たものなのだろうか。筆者はそれだけでない様な気がしてならない。
 2017年にリリースされた外伝のリメイク作「Echoes」の戦技システムやフルボイスの実装が風花雪月への布石であった様に、風花雪月で実装された各システムは聖戦リメイクの布石であったりはしないだろうかと考える。

 

FEにおいてストーリーはシステムであり、システムはストーリーである

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 正確に言うならばFEにおけるゲームプレイは確固たる世界観の上に成り立っている物語の影響を受け、ゲームプレイはプレイヤー自身が体験するシナリオへ影響を及ぼすという事だ。
 最も解りやすい例を挙げるなら聖戦における結婚システムだろう。
 第一部で様々な境遇から戦争に参加する事になった仲間たちをプレイヤーはカップリングしていくことになる。物語の内容に沿った組み合わせでもいいし、生まれてくる子供の事を考えながら親同士を組み合わせてもいい(究極的にはカップリングしないという選択肢もある)。
 そして第二部ではかつての仲間の子供達が成長し、主人公のもとに集結していく。カップリングによって主力となる伝説の武器の入手タイミング、子供の能力やスキルがダイナミックに変化する。プレイヤーの紡いだ物語がゲームのレベルデザインへ影響するのである。
 このシナリオとシステムの円環は今になってもなお非常に巧みな構造だ。
 こうして紡ぎ出す物語は間違いなくプレイヤーにとって自分自身だけのものであり、だからこそキャラクターに対する思い入れの度合いが格別のものとなるのである。

 これは当然、風花雪月でも踏襲されている。
 主人公がふとしたきっかけで士官学校の教師となって生徒たちに指導を行う事は序盤こそ強引な展開に感じられるが、ゲームを進めていく内に全てが必然であった事が明らかになる。
 教師として生徒たちに指導を行うという行為はゲームとして面白いだけでなく感情移入をスムーズにさせる。生徒たちとの関係が深まれば支援会話という形で彼らのバックボーンが明かされていく。第二部の戦争編がよりドラマチックに映るのだ。
 選ばなかった学級の生徒をスカウト出来るシステムが戦争の無情さをより際立たせているのは興味深い。異なる陣営に参加する事となった彼らは肉親やかつての級友と対峙する事となる。探索パートで彼らの切実な想いを聞くうちに本当に自分の陣営へ招き入れた事は正しいことであったのだろうかという葛藤をプレイヤーに抱かせる。

 

 

士官学校時代の級友との戦争

 聖戦において「シグルド」、「キュアン」と「エルトシャン」は士官学校時代の同級生であったが数奇な運命を辿った結果対立する事となる。
 風花雪月では教師視点で各学級の生徒達と関わるので第二部での戦争はより悲劇的に映った。
 聖戦がリメイクされる事があればシグルドらの過去のエピソードが掘り下げられる事もあるだろうか。

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大規模な戦争を描くに相応しい騎士団システム

 国同士の間で起こる大規模な戦乱を描いた聖戦のスケール感を再現するにこれ程うってつけのシステムは無いだろう。
 元々このシリーズのユニットは個人ではなく部隊を意味している事が多い。(蒼炎の傭兵団の様に本当に小規模な勢力の場合もあるが)
 今までハードのスペック等の制約によって不可能だった大部隊同士が入り乱れる戦争を描写する事が遂に可能となったのだ。

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紋章と聖痕

 風花雪月におけるフォドラ十傑の血筋によって継承される「紋章」は聖戦における十二聖戦士の「聖痕」を意識した設定である事は疑いの余地が無いだろう。
 それぞれの血筋に対応する武器が登場する点でも共通している。
 ただし、かの有名なフォルセティを筆頭に登場するや否やゲームバランスを完全にぶっ壊すレベルで強かったそれと比較すると風花雪月における英雄の遺産はかなり抑えめの性能になってはいるが。

 

まとめ

 以上は全て筆者の勝手な推論だ。風化雪月の発売から少し経ち、周回を重ねて遊びこんでいく内に聖戦の片鱗を感じ取るのである。

 現時点で言えることは次回作が完全新作であろうがどの作品のリメイク作であろうが筆者は構わずに飛びついて購入し周回を重ねて遊び尽くす事になるだろうという事だけだ。

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