キングダムハーツ3 レビュー ストーリーとバトルシステムの総決算

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メーカー:Square Enix 機種:PS4,Xbox one

 

 

 シリーズ一作目が発売されてから17年という歳月が流れた。17年と言えば産まれた子供が高校2年生になってしまう程の年月。
その間にナンバリング3作の他にも多くの派生作品が産まれたがシリーズの大筋は本作で一旦完結とのことである。
 筆者はキングダムハーツ(以下、KH) シリーズをリアルタイムで追っていて「KHユニオンクロス」以外の作品は全てプレイしている。

 

 


溢れんばかりの原作愛

 本作で絶賛したいのは原作愛に満ち溢れた各ディズニー作品のワールドだ。

 フィールドマップはシリーズ最大の広さとなり、もはや過去作とは比較にならない大きさとなった。探索が楽しいのは勿論、広々とした空間で大規模な戦闘が行われるシチュエーションが増えている。

 「ベイマックス」のワールドであるサンフランソウキョウはそれ自体が一つのオープンワールドとなっていてそれだけでもゲームが一本作れそうな規模だ。

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 各作品間で言うと特にピクサー作品の再現度が高いと感じた。
 2006年に完全にディズニー傘下になってからKHでピクサー作品の世界へ入り込んで遊びたいと熱望していたので本作で念願叶った形だ。
 ムービーやマップ等随所に散りばめられた小ネタを含め溢れんばかりの原作への深い愛情を感じさせる。

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 再現度の高さはディズニー本体が3Dアニメへ制作体制が移行したという事も関係している。これは単純に3D空間でアクションを遊ぶKHとの相性が良いからである。

 本作から初参加となった作品は本格的に3Dアニメ体制となった「塔の上のラプンツェル」以降の作品が多い。これらのワールドは原作そのままの世界に入り込んだ様な気持ちになって探索できる。


 ところで4作目を作るとしたらピクサーの「インサイドヘッド」のワールドはどうだろうか。感情を扱った映画なので心がテーマのKHとの相性が抜群だと思う。

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シリーズ作品良いとこ取りのバトル

 バトルはシリーズで最もド派手になった。
KH2」のフォームチェンジ、「KHバースバイスリープ」のデッキコマンド・リンク・シュートロック、「KH3D」のフリーフローといった過去作からのいいとこ取りでシステム的にもシリーズ総決算となっている。
 そこへ新たにキーブレードの変形アクションとアトラクションフローが追加され画面がとんでもなく華やかだ。

 バトル中はシチュエーションコマンドが次々と出現し、誰でも簡単にど派手な戦闘演出が楽しめプレイヤーを飽きさせる事はない。

 変形アクションは次々と怒涛の連撃を繰り出せるので超爽快だ。変形時のモーションもカッコいいので毎回見惚れてしまう。

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 しかしシステムをもりもりにしてしまった結果、広範囲をカバーする攻撃手段が多くなりすぎてバトル全般の調整が大味になってしまった印象を受ける。
基本的にあらゆる状況が〇ボタン連打で解決してしまうのである(偶に△を押す程度)。問題なのはボタン連打がほぼ最適解になってしまっている事だ。

 筆者は初見から最高難易度のプラウドを選択したが、レベル上げ等の寄り道をせずとも最後まで特に苦戦する場面が存在しなかった。
 元々「KH2」のバトルが単調すぎると批判の的になり「KH2 FINAL MIX+」で難易度クリティカルや追加ボスといった大幅なテコ入れがなされたという経歴を持つ本シリーズ。開発部署の変更など事情はあるのだろうが再びアクションゲームとしての調整が甘くなってしまったのは残念だ。


ダークシーカー編完結

 シナリオは終盤に綻びを見せる。画面の中で状況が盛り上がれば盛り上がるほど事態を完全に把握出来ていないプレイヤーは置いてきぼりになってしまう。
シリーズとして物語の大筋には決着がついているが、未だに未回収の伏線を残している。一体現時点でプレイヤーのうちどれだけがシナリオを完全に理解しているだろうか。
 少なくともこれからの新規プレイヤーの為に一旦は完全にリセットをかけるべきであったと思う。折角間口が広いゲームなのに複雑な設定で敷居を上げてしまっているのが惜しいと感じるからだ。

 とは言うもののエンディング自体は素晴らしい。一作目からのプレイヤーとして感無量である。


総評

8.5/10

 

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