アサシンクリード オデッセイ レビュー 完全にRPGへ転向した挑戦作

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メーカー:UBI SOFT 機種:PS4,Xbox one,PC

 前作「アサシンクリード オリジンズ」で一旦仕切り直しとなった本シリーズ。オリジンズでは従来のアクションゲーム路線からRPGへと大胆な方向転換が為された。

 今回はそのRPG要素を更に突き詰めた作品だ。古代ギリシャを舞台にした広大な旅路は正にオデッセイ(odyssey)と称するに相応しい。

 

大幅に向上したプレイ体験

 二人の主人公を用意したことによりリプレー性が大幅に向上した。過去作「アサシンクリード シンジケート」でも二人体制を採用してはいたが本作とは意味合いが異なる。今回は冒頭から一貫して選択した主人公によって物語上でのキャラクターの立ち位置が変化するのである。
 また選択肢の導入もあらたな試みである。選択によりクエストの展開や結末が変化する。ゲーム性の向上には貢献しているが明らかに影響を受けている元である「ウィッチャー3」と比較してしまうと選択によってプレイヤーが負うことになる責任や倫理観などの深みが不足している。
 他のゲームの影響で言えば「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド 」を意識したであろう探索モードも見逃せない。従来作であればクエストを受注すればその時点で目的地にマーカーが設置されていたのだが。探索モードではヒントを頼りに自分でエリアを捜索することになる。これは結果的にオープンワールドの探索と発見の喜びを向上させている。因みに面倒であれば通常モードで遊べばいい。過去作と同様のプレイ感覚になる。

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 本作にはメインストーリーから派生するギリシャを陰で牛耳る組織を相手にするコスモスの門徒、秘宝の探索や神話上の存在と対峙するアトランティス等々膨大なサブクエストが存在する。これらに代表される長編サブクエストの出来は良いのだが、そのほかの明らかにボリュームの水増しの為だけに用意されたクエストが多すぎるのが問題だ。
 例として挙げると目的地に移動するだけのクエスト指定された動物を狩るだけのクエストなどどうでもいい内容の物が数多く見受けられる。
ゲームにおいてボリュームが多いというのは大変よろしい事なのだが品質の低いコンテンツは作品全体の品質を落としてしまう。
 UBI SOFTの作品には毎回言えることだがもう少し内容を精査すべきであると思う。

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ビルドと戦闘

 ビルド要素はオリジンズでも存在していたのだが、本作では更に特定のツリーに特化したビルドが可能となった。
 近接戦闘、弓、ステルスの中からプレイヤーは自由なプレイスタイルを選択できる。もちろん満遍なく取得するのも自由だ。


 戦闘面ではアクティブスキルの本格的な導入された。リチャージ時間やスキルゲージ管理を行ないながら戦うのはディアブロ等のハック&スラッシュに近いプレイ感覚だ。
 問題点としてはモーションが早く手数が多い武器が優遇されすぎている事が挙げられる。振りが早ければ異常状態の付加等も行ないやすく結果強さでは「短剣」、「長剣」が双璧を成している。リーチが長い「槍」や「棒」はまだましだが、振りが遅い「クラブ」はほぼ存在価値が無いレベルまで不遇な扱いだ。

 

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捻りを加える傭兵システム

 今回最も関心したのが新たに追加された傭兵システムである。プレイヤーに懸賞金が掛けられるとその地域で賞金稼ぎが巡回し始める。彼らは拠点の攻略中でもプレイヤーをしつこく追跡してくるユニークキャラクターでそれぞれが狩猟用の動物を従えていたり、毒属性の遠距離攻撃をしたきたりといった個性を持っているので非常に厄介な存在だ。しかし逆に返り討ちにすることができればレア度の高い装備品をドロップするので旨味もある。

 この要素は従来のアサシンクリードのプレイスタイルへのスパイスとして上手く機能していると感じた。拠点の攻略途中でも傭兵がそろそろ来るから一旦引き上げようとなったり、傭兵を上手く自分の有利な地形へおびき寄せ一撃必殺のクリティカル暗殺を決める事も可能である。いずれも過去作にはなかったランダムな捻りをゲームプレイに加え進行が単調になることを回避している。

 ちなみに賞金稼ぎがうっとおしければ自分で懸賞金を収めるか懸賞金を掛けて居る人物を暗殺してしまえばいい。たいした手間にはならない。

 

復活した海戦

 4から海戦も再登場を果たした。大航海時代が舞台で大砲の砲弾が飛び交っていた4に対し紀元前が舞台の本作は槍や弓で戦闘を行う事になりプレイ感覚がやや異なるのが特徴である。
 海戦や航海での探索自体は面白いのだが、一介の傭兵でしかない主人公が船を一隻手に入れ船長を務めるのがストーリー上やや強引に感じるのが難である。
 4は海賊が主人公だったからこそ商戦を襲って資材を略奪し、船を強化するといった要素が活きていたので、本作はゲームとしてとってつけたように感じる。

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 総評

8.8/10

 RPGに特化したことによってシリーズは新たなステージへ突入した。新たな風を吹き込ませ続ける姿勢は長年続くフランチャイズのお手本になるだろう。

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