ゼルダの伝説 夢をみる島 21年前、コホリント島の謎に屈した私は再び夢を見る

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メーカー: グレッゾ 機種:Switch

21年前、当時小学生だった私にとって「ゼルダの伝説 夢をみる島DX」は「ポケットモンスター金銀」がいつまで経っても発売されないのでなんとなく遊んだソフトの内の一本であった。


ポケモンとマリオくらいしか遊んでなかった当時の私にとって「ゼルダの伝説」シリーズ自体プレイするのは初めてであったしなにより謎解きが主体のゲームであることも新鮮だった。因みにゲームボーイポケットで遊んでいたのでふくのダンジョンへは入れなかった。


インターネット環境なんて存在しなかった当時は謎に行き詰った際の解法は友人間の口伝というローカルなネットワークを駆使して伝えられるものだった。
このネットワークの弱点は結局のところ全員が同じ個所で行き詰るとゲームの進行が完全に停滞してしまう事だった。案の定ゲームの中盤、おそらくレベル5か6辺りのダンジョンで挫折してしまった私はゼルダってなんか難しいゲームだったなという想いのまま他のゲームに移ってしまったのである。
あの黒いカートリッジの中の私のリンクは未だにコホリント島の夢に囚われたままだ。

友人の一人が攻略本を入手しゲームをエンディングまで進めたのはそれから数か月後だったろうか。
こんな感じで夢をみる島というタイトルは私にとってちょっと苦い思い出が蘇ってくるタイトルである。
なんとなく苦手意識をもったままだったので3DSバーチャルコンソールでも中々手を出せなかったのだが、今回リメイクという形で当時の雪辱を果たす機会が与えられたのである。

 

 

涙腺を直撃するBGM

先ずゲームを起動した直後のオープニングだけでもう泣けるんじゃないかと思えた。上記の思い出が濁流のように蘇ってきたのである。
生演奏を採用するにあたりオーケストラではなく弦楽器と木管楽器主体のアンサンブルを主体とした事は原作が携帯機の作品であった事やゲームのスケールを考えると鋭い選択だ。

どこか寂しげだけど柔らかな印象を受けるBGMはジオラマ風味のグラフィックとの相性が抜群に良く、原作に存在した作品全体を覆う奇妙な雰囲気を損ねていない。

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どこまでも忠実なリメイク

 謎解きの内容やギミック自体は原作から全く変更されていない。
本作の変更点はグラフィックであったりBGMであったりボタン数の増加によるプレイアビリティの向上に留まる。
だからこそ当時の淡い思い出を振り返りながらプレイすることが出来るのである。

もともとの原作は26年前のゲームだが、現代でも十分に通用する事を証明してみせたと言えよう。
本作はいい意味で定期的にプレイヤーを突き放す。最低限のヒントは提示されるが今持っているアイテムで今行ける範囲を探索してなんとかしろという局面が多い。現在の親切なゲームに慣れたプレイヤーが初めて夢をみる島という作品に触れた場合は面食らうかもしれない。

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奇妙なフレームレートの低下と追加要素

基本的には常時60フレームで安定しているのだが時折ガクッと下がるのが気になる。それほど処理が重いとは思えない場面で下がるのでこれは奇妙だ。
追加要素の目玉として挙げられるパネルダンジョン。
自分でダンジョンを組んで遊べると聞くと面白そうに聞こえるのだが、実際には在りもののパーツを組み合わせるだけなのでそれほどオリジナリティを発揮させられず、それほどプレイする意義を見出せなかった。

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まとめ

原作を最大限に尊重した愛のある作品。
制作スタッフがブログで語っていた「押しつけがましい味付けをしない」という言葉がしっくりくる。上質なリメイク作だ。
どこまでも原作に忠実なので現代のゲームとして見た場合ボリュームの不足は若干気になる。
"裏"夢をみる島などの追加があれば完璧だったが高望みしすぎだろうか。

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