スーパーマリオメーカー2 レビュー 止まらない「つくる、あそぶ」のサイクル

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メーカー:任天堂 機種:Switch

 マリオのコースを作って遊ぶツール作品の第二弾が登場。

 遊ぶの面ではストーリーモード、バトルモードが追加され、作るの面では新たに3Dワールドのスキンやそれに伴うパーツが大量に追加された。

 

 

前作の問題点

 前作の問題点は大きく分けて2つある。
 コース制作におけるガイドラインの不備とコースのランキングが正常に機能しなかった事である。
 言うまでもない事だがアクションゲームのレベルデザインは素人が一朝一夕に出来るものではない。2Dマリオのコースは様々な理論や暗黙の了解の上に成り立っている。ど素人が自由に制作し公開すれば、遊んでいて面白くない不出来なコースが粗製乱造されることになるのは当然である。
 結果的に本当に面白いステージが埋もれて遊ばれなくなり、ランキング上位が自動演奏コースや一発ネタのコース、いいねを要求する悪質なコースで溢れかった。
 この事態を任天堂側が重く見たのかは定かではないが、発売から暫くして「ニンテンドーキッズスペース」のサイト内でコース製作のガイドライン「ましことヤマムラ」が設置される事となった。後続の3DS版ではゲーム内へも収録され今回の2でもそれは踏襲されている。

 本作のランキングは今のところ正常に機能していると感じる。(2019/6/29)

 

充実のガイドライン ヤマムラ道場

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  本作に収録されたガイドラインはコース製作の「基礎の"き"」の部分から段階を踏んで徹底的に学ぶ事が出来る。

 それは各パーツの説明、設置の仕方から2Dマリオがゲームとして娯楽として成立する所以にまで及ぶ。これは任天堂にとってマリオが何故面白いのかという秘伝のタレを公開しているに等しい。マリオという枠を超えて、ゲーム製作においてレベルデザインの教材としてそのまま使用出来てしまう程だ。

 

ストーリーモード

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 今回新規で収録されたストーリーモードも特筆すべき点である。オリジナルのコースが100以上も搭載されていてこれだけでも2Dマリオ新作商品として成立するだろう。
 何よりも優れているのはコース遊んでいて面白いというだけではなくプレイヤー側のクリエイティブが刺激される事だ。
 こんなギミックの使用法はどうだろうかといった形でゲーム側に提案される内に次々とコースのアイデアが湧いてくるのである。
 ストーリーモード自体がコース制作におけるヤマムラ道場の次のステップであり、開発スタッフからの見て学べというメッセージをひしひしと感じる。アイデアが浮かべんだらスタートボタンを押せばスムーズに制作モードへ移れる点も優れている。

 

 

ハチャメチャ感が楽しいバトルモード

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 バトルモードはゲームに捻りを加える変化球として上手く機能している。

 勝敗によりレート上下する真剣勝負であり、コース製作の息抜きとして遊んでいる内についつい夢中になってしまう。スキンによっては他のプレイヤーを担いで妨害する事も可能でかなり殺伐としているようでいて、時に協力し合って進める局面が存在したりもする絶妙なバランス感覚だ。

 バトルではプレイヤー四人それぞれに接触判定が存在する為、それを見据えた上でのコース設計が求められる。今のところバトルのタグがついていない一人プレイ用のコースも選出されるようで、それはそれでコースの新たな一面が見えて楽しかったりする。

 

ツールとしては痒いところに手が届かない

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 本作はタッチ操作とコントローラー操作それぞれに対応しているがどちらも少々難があると感じる。画面の外周を覆うように大きくUIが設置されている為タッチ操作時は画面端へパーツを設置し辛く、画面のスクロールに難がある。コントローラーはボタンでのショートカットが煩雑で熟練を要し、位置の指定が直感的ではない。

 多くのプレイヤーはタッチとコントローラーのハイブリッドで制作を行う事になると思う。個人的にはUIの位置やサイズを自由に変更できると助かるのだが高望みだろうか。

 また今回追加された3Dワールドのスキンは新規のパーツが多く登場する反面、今までのスキンのパーツが大幅に削られている事は残念に感じた。作っている内にアイデアを閃いても思うようなパーツを使えない場面がかなりあった。

 

総評

9.3/10

 つくる、あそぶの止まらないサイクルを内包した優れたツール。

 生かすも殺すもプレイヤー次第だ。

 

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